設立趣意書

 特定非営利活動法人 鎌倉考古学研究所 設立趣旨書

 源頼朝によって鎌倉幕府が開かれて以来、鎌倉がわが国中世の中心的都市であったことは良く知られているところであり、古都鎌倉には日本中世史やその文化を考える上で、多くの貴重な遺跡が残されています。 

鎌倉の遺跡についての計画的な発掘調査は、各種工事に伴う緊急発掘調査が増大し始めた昭和50年以降、鎌倉市教育委員会の要請を受けた民間の研究者により、遺跡ごとに組織された発掘調査団の手によって実施されてきました。

個々の調査によって得られた成果は、わが国中世の研究に大きな示唆と数々の問題を投げかけるものでありましたが、それを学術的且つ体系的に集成し活用することは、一発掘調査団だけでは到底対処しうるものではありませんでした。

 しかしながら、発掘調査に係わる行政指導等により、調査責任を明確にするために遺跡ごとの調査団を編成する方式が解消され、発掘調査は鎌倉市教育委員会あるいは発掘調査会社が担うようになるなど調査体制が大きく変貌いたしました。

また、その一方で鎌倉以外の調査機関や個々の研究者との交流がさまざまなレベルで活発化し、鎌倉の果たすべき役割が飛躍的に高まりつつあります。

この現況に際して、調査成果を有効に活用して中世考古学の情報を鎌倉から発信するための機能を、任意団体である鎌倉考古学研究所が一元的に担うことが困難となりました。

 そこで鎌倉考古学研究所が設立当初に掲げた理念を、現在の諸状況に即して具現化するために、法人格を有する研究機関として鎌倉考古学研究所を発展的に改変することが現時点で採るべき最良の方策と考え、「特定非営利活動法人鎌倉考古学研究所」を設立することといたしました。 

今後は、遺跡の調査及び活用、歴史学習のサポート、調査研究者の育成、鎌倉の歴史資料の保存・活用、遺構・遺物に係わる情報の発信や啓発・普及等の諸事業を鎌倉市教育委員会及び他の調査・研究機関などとの協働事業も含めて実施し、鎌倉に相応しい調査・研究環境を創造していきます。


 平成20年 6月15日
     法人の名称  特定非営利活動法人 鎌倉考古学研究所
     設立代表者  松尾 宣方

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